埼玉第一教区教化研究会報告
去る平成二十八年九月十三日、「埼玉第一教区教化研究会」が教区宗務所龍泉寺に於きまして開催をされました。当日は教区管内並びに他教区寺院より教師二十名、寺庭婦人四名の参加を賜り、講師に密厳流遍照講でも御講演をされた、ヴォイスティーチャー 高牧康先生をお招きし、「声明・ご詠歌の発声方法 ―供養の心を育むお経の唱え方―」をテーマに御講義を賜りました。
まず初めに映像を基に、「声帯の働き」について御講義を賜りました。声帯は単に声を発するだけの器官ではなく、肺に繋がる気管へ異物が入り込まないように、飲み込んだものを仕分けする大変重要な役割を持っていること。また、お年寄りの死因に多くみられる「誤嚥性肺炎」は、この声帯の弱体化に起因しており、特に独居老人などにみられる会話や声を発する機会の減少により声帯の弱体化が進むそうです。逆に年を重ねてもカラオケ等で声帯をしっかり使用していれば弱体化は防ぐこともできるとの事でした。
講義の途中、宗教と音楽の関係について先生がお話しになられ、声明や讃美歌などによって心に感動を与えることは、信仰心に働きかける上でとても良い影響があり、音楽と宗教の関係性は大変重要であるとお話しをされておりました。
また休憩後には実際に参加者全員にて発声練習を行い、「おい、鬼太郎!」と目玉のおやじの様な裏声で発声練習をすることで、声帯がしっかりと伸び、短時間でしっかりとした音域で声を発声できる練習方法を体験し、参加者一人ひとりが「同行和讃」をお唱えし、先生に適切なご指導を賜りました。
我々が日々お唱えしている声明や御詠歌は、仏さまの教えを説くと共に、聞く者の心に響くものであり、日々の精進により檀信徒の心を震わせるものに出来れば、この上ない檀信徒教化に繋がるのではないでしょうか。
この研究会に参加させて頂くにあたり、御講義を賜りました高牧康先生、この様な有意義な企画をいただきました教区長様はじめスタッフの皆さまに感謝申し上げ、報告とさせていただきます。
(明王院 山口純雄)