教区ニュース

平成28年2月8日 埼玉第一・第二・第三教区合同講習会

去る平成二十八年二月八日(月)、川口駅前市民ホール・フレンディアにおいて埼玉第一・第二・第三教区合同講習会が開催されました。今回は大正大学教授・元山公寿先生、智山教化センター所員・伊藤尚徳先生をお迎えしての二部構成のご講義となりました。

 第一部、伊藤先生のテーマは「弘法大師信仰から考える教化」。講義は寺院を取り巻く環境の激変について説明していだだき、そこへ向けての教化活動へと進められました。人口減少・過疎問題、葬儀形態の変化、家の宗教が継承されない問題など具体例・データを見てゆくと、改めて考えるべき問題が多いことに気付きます。こうした中で、檀信徒と共に行う遍路が教化活動として有効であるとお話くださいました。四国遍路の歴史を交え、遍路の醍醐味について解説。私たち教師も檀信徒と同じ地平に立つ“教化から共化へ”という言葉が印象的でした。

 第二部、元山公寿先生のテーマは「弘法大師の思想と活動」。弁顕密二教論、声字実相義、即身成仏義、十住心論の要点から思想の肝となるところをお話いただきました。顕密の違い、仏身観といった難解な点も、先生は分かり易い例え話を用いて解説くださいました。また先生は弘法大師の文章の巧みさにも触れていました。講習会の後、改めて著作を開こうと思った方も多いのではないでしょうか。弘法大師は私たちにとって基本でありますが、その著作・活動を一つ一つ正確にたどって行くのは大変です。要点を押さえた解説で全体像を再確認したことが、その一つ一つのより深い理解へとつながるのではないかと思います。

 開・閉講式では直林一敏第一教区長、倉持秀哲第二教区長、村上晋第三教区長からお言葉をいただききました。ありがとうございます。直林教区長の開講の言葉にもありましたが、テレビなどに僧侶が登場し注目を浴び、一方で寺院の未来を悲観的に語られる状況があります。この講習会が今後の寺院活動、教化活動の備えとなったのではないでしょうか。

 元山先生、伊藤先生、参加者、関係各位に心から感謝申し上げ、ご報告とさせていただきます。

(観福寺中 小澤俊章)