去る9月5日に、埼玉第一教区(清水秀隆教区長)主催の教区教化研究会を執り行いました。
今回は去年3月11日に起きた東日本大震災の物故者のご慰霊や甚大な被害を受けられた被災者の生の声を聞かせていただく為に宮城までお邪魔させて頂きました。当初、大変に苦労をされた地に赴くことは心苦しい気持ちでいっぱいだったのですが、今回講師をお引受けくださいました教化センター専門員、宮城教区岩誓寺ご住職佐藤雅晴僧正の「一度現場を直接見てほしい」とのお言葉をいただき、さらには数々のお計らいを賜り、岩誓寺様を会場に研究会を開催させて頂く事となりました。
参加者は朝10時に大宮駅に集まり、10時22分発こまち21号で仙台に向かいました。11時37分に仙台駅に着き、直ぐにチャーターしたマイクロバスで岩沼市にあります岩誓寺様をめざし、予定よりも早い12時30分頃に到着しました。参加者は本堂に上がり、ご多忙の中駆けつけて頂いた宮城教区教区長杉田広仁僧正ご臨席のもと開講式を開催し、その後は客殿へと移り、佐藤僧正より講演をいただきました。
講演内容は、はじめに東日本大震災の規模から始まり、宮城県の被害状況や宮城教区寺院の被災状況等を懇切丁寧に述べられました。宮城教区93ヶ寺中34ヶ寺が大きな被災を受け、7割程は何かしらの被害があったとお教え下さりました。
また宮城教区の援助活動を報告して頂きました。新聞広告などを出し、檀信徒の安心に努めたり、精霊供養牌を被災者に配ったりと宗教家ならではのケアに尽力されたようです。また、宮城教区主催で慰霊祭や復興祈願祭を執り行い、延べ3000名参加されたとの事。
宮城教区の推定ではおよそ800名の当教区内の檀信徒がお亡くなりになられたそうです。そのような未曾有な大震災に対し、宮城教区は救助のために災害救助積立金の制度を始めました。また教区仏事相談窓口を5カ所に設立し、震災避難者の仏事相談などに応じたりしているとの事。そして、今後の震災等に対処すべく迅速に動けるような組織系統を構築する目的で宮城教区災害救助対策規定を敷いたと教え下さいました。
最後に佐藤講師の提言を頂いたのですが、寺院を防災協定で公共施設として提供すべきとか、何かあったときにも連絡が必ずとれるように檀信徒の携帯番号を聞いておく事とか、災害にあったときの為に災害医療のトリアージのように優先事項を決めておくべき、など大変に示唆に富み、今後の指針に役立つものでありました。
概して佐藤先生のご講義はカラー写真や地図などを用いて、大変に視覚的に訴えるものがあり、土地勘のない我々でも震災前と後の被災地の違いをはっきりと知ることができました。
講習会終了後、現地視察と赴きました。講師の佐藤僧正もバスに同乗し、いろいろ現地の説明案内をしていただきました。流失した本派寺院数か所の前で読経させていただき、微力ながら御回向させて頂きました。
講師の佐藤先生とは名取市閖上地区で別れ、16時30分頃に仙台駅に到着。17時26分こまち32号で帰路につき、18時42分に大宮駅着し教区研修会が終了となりました。
未曾有の大震災から約一年半が経とうとしておりますが、現地に赴いて思った事は復興が遅々として進んでいなことでした。一刻も早く復興を祈らざるをえませんし、また今なお苦しまれている被災者の痛みが癒されることを願わずにはいられませんでした。今回の大震災は東北に発生し、多くの尊い命も失われました。改めてお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたします。
今回の教区研究会によって、大震災の脅威や、被災された方々の思いを再度認識することできました。自分にとって大変に実りのある研究会でした。
以上をもちまして、簡単ではございますが埼玉第一教区教区研究会の報告を終了とさせて頂きます。
参加者 清水秀隆 山口正隆 直林一敏 荒井真道 安達本空 小室雄充
高橋一晃 奥野真明 岡部法香 藤原雅弘 山口純雄 江連俊隆
山口弘隆 清水和子 江連光江 小泉節子
(文 藤原雅弘)